ラーンの大斧が石壁を粉砕した。埃埃が舞い上がり、その向こう側には、薄暗い通路が続いているのが見えた。イシェは懐中電灯を点け、「またしても、罠か迷宮か…」とため息をついた。
「そんなことより、早く奥へ進もうぜ！」
ラーンの言葉に反して、テルヘルは慎重に足取りを確かめながら通路を進んでいった。その背中に、何か狙いがあるように見えた。
「ここには何もない」
イシェがそう言うと、ラーンは肩をすくめた。「イシェよ、お前はいつもそう言うよな。でも、今回は違う気がするんだ！」彼の目は輝いていた。
テルヘルは壁に沿って手を走らせ、何かを探しているようだった。そして、ついに彼女は小さな突起を見つけた。「ここだ」と呟き、指先で軽く押すと、壁の一部が沈み込み、奥へ続く階段が現れた。
「まさか…」イシェは驚きの声を上げた。この遺跡には、多くの罠と迷宮が存在した。だが、ここまで深く潜ることができたのは初めてだった。
階段を下りると、広大な地下空間が広がっていた。中央には、巨大な石棺が鎮座している。その周りには、数々の宝物が散乱していた。ラーンは目を輝かせ、剣を抜きながら「ついに大穴だ！」と叫んだ。
しかし、テルヘルは冷静に状況を見極めていた。「この場所こそ、私が狙っていたものだ」彼女はそう呟き、石棺に向かってゆっくりと歩み寄った。その瞳には、復讐の炎が燃えていた。