「おい、イシェ、お前も見たか?あの輝き!」ラーンが興奮気味に声を上げた。目の前で、岩壁に覆われた奥深くの遺跡内部から、淡い青白い光が漏れていた。「ああ、またか…」イシェはため息をついた。ラーンと二人で何週間もこの遺跡を探検しているが、未だかつてその光を直接見ることができたことはなかった。いつもなら、この光は壁に反射し、かすかな輝きとしてしか見えなかったのだ。
「今回は違うぞ!絶対何かがある!」ラーンの目は興奮で輝いていた。「あの光、まるで…まるで宝石みたいだ!」イシェは内心ため息をついた。ラーンの冒険心をくすぐるために、特段に貴重な宝石を見つけたかのような言い方をするのは常だった。だが、イシェもどこか期待を抱いていることに気付いてしまった。
「よし、行ってみるか!」ラーンが剣を構え、遺跡の奥深くへと進んでいった。イシェは後ろから続く。テルヘルは冷静な顔つきで彼らを追った。「待て、二人とも。安易に近づきすぎると危険だぞ。」テルヘルは警告を発する。彼女はヴォルダンとの戦いの経験から、遺跡の奥深くに潜む危険性を熟知していた。
「大丈夫だ、テルヘル。俺たちにはラーンがいるんだ!」イシェは少しだけ自信を持って言ったが、内心では不安を感じていた。ラーンの行動は予測不可能で、特段に危険な状況を招くことも少なくなかったからだ。
遺跡の奥深くへと進むにつれて、青白い光はより強く輝き、壁一面を照らし出すようになった。すると、目の前に広大な空間が現れた。そこには、巨大な水晶が幾つもの柱のように立ち並び、空中に浮かぶ青い炎がゆっくりと揺らめいていた。
ラーンは目を丸くし、「おおっ!」と声を上げた。イシェも息を呑んだ。それは言葉で表現できないほどの美しさだった。特段に、この遺跡の奥深くに眠っていた秘宝とは何か、想像を超えるものだった。 しかし、その瞬間、水晶の一つから青い光が放たれ、ラーンに向かって襲いかかった。