「準備はいいか?」テルヘルが鋭い視線をラーンとイシェに向けた。「今回はヴォルダンとの国境に近い遺跡だ。危険度が高いことを覚悟しておく必要がある」
ラーンの顔にはいつもの自信が浮かんでいた。「大丈夫だ、テルヘル。俺たちを安心させるようなこと言わなくたってわかるだろう?」彼は剣を軽く振った。イシェは小さく頷いたが、その目はどこか不安げだった。
遺跡の入り口は崩れかけていて、内部からは不気味な影が漏れていた。ラーンが先頭を切り、イシェが続き、テルヘルが後ろから続くように慎重に進んでいった。遺跡内部は湿気で冷たかった。壁には謎の文字が刻まれており、床には足跡が残っていない。
「ここには何かいる気がする…」イシェは小声で呟いた。ラーンは笑い、「そんなことないだろう」と答えるが、彼の表情にも緊張の色が浮かんでいた。テルヘルは周囲を警戒しながら、地図を広げて確認していた。
奥深く進むにつれて、遺跡の雰囲気は一層不気味なものになった。突然、床から毒性の強いガスが噴き出した。ラーンが素早くイシェを引っ張り、テルヘルが魔法でガスを封じ込める。
「これは罠だ!」テルヘルは眉間に皺を寄せた。「誰かが私たちをここに誘い込んだ可能性がある」
彼らは慎重に進み、やがて遺跡の中心部に辿り着いた。そこには巨大な石の扉があり、その上には古代の文字で「禁断の地」と刻まれていた。扉には複雑な鍵穴が備わっていたが、テルヘルは持ち合わせていた古い書物から鍵となるアイテムを特定し、慎重に扉を開ける。
扉が開かれると、 blinding bright light が部屋を満たした。ラーンは目を細めて扉の向こうを見つめた。「何だこれは…」彼は言葉を失った。イシェも息を呑んだ。
部屋の中央には、輝く金色の宝箱が置かれていた。それはまるで太陽のように輝き、その周りを奇妙な模様で囲まれている。
「大穴か…」ラーンは呟いた。イシェは宝箱をじっと見つめた。「これは…本当に大穴なのか?」
テルヘルは宝箱に近づき、慎重に蓋を開けようとしたその時、突然、部屋の壁から巨大な影が姿を現した。それはまるで生き物のように蠢く闇で、鋭い牙と爪を持っている。