ラーンがいつものように巨大な剣を肩に担ぎ、イシェが細長い杖を携えてビレーの酒場にやってくると、テルヘルはすでに席についていた。彼女の向かいには、見慣れない男が座り、不機嫌そうに酒を飲んでいた。
「遅っ」とテルヘルは眉間に皺を寄せた。「彼はヴォルダンからの使者だ。重要な情報があるという」
ラーンは男を見つめると、威圧的な態度をとる。イシェはラーンの腕を軽く掴んで制止し、テルヘルに視線を向けた。
「どんな情報？ビレーでそんな大物と会う必要はないだろう？」
テルヘルは男の方へ頷き、「彼の名はガッシュだ。ヴォルダンとエンノル連合の境界付近で、新たな遺跡が発見されたというのだ」
ガッシュは不機嫌な表情のまま、口を開いた。「その遺跡には、ヴォルダンが欲する物があると聞いた。お前たちに調査を依頼する。成功すれば報酬は倍にする」
ラーンの顔色が明るくなる。イシェは眉間に皺を寄せた。「ヴォルダンが欲する物？それは危険すぎるだろう。なぜ我々に？」
テルヘルはガッシュの視線を受け止め、「彼は、エンノル連合議会で物議を醸すような情報を持っているようだ。それを利用して、ヴォルダンに近づきたいと考えているようだが…」
ラーンは興奮気味に言った。「おいイシェ！これは大穴かもしれないぞ！ヴォルダンが欲する物って、一体何だ？」
ガッシュは口元を歪めながら、「それはお前たちに探してもらうものだ」と答えた。