ビレーの夕暮れ時、ラーンが酒場で豪快に笑い声を上げていると、イシェが眉間にしわを寄せながら彼の手を掴んだ。「また、あの話か。今日は本当に遺跡に行くのか？」
「ああ！今日は違うんだ、イシェ。今日の夜、僕らの人生を変える何かが見つかる予感がする！」ラーンは目を輝かせた。イシェはため息をつきながら、ラーンの肩を軽く叩いた。「そうだな、いつもそう言ってるじゃないか。」
二人が酒場を後にすると、テルヘルが待ち構えていた。「準備はいいか？今日の遺跡は危険だ。特に、あの古代の罠には気をつけろ。」
「大丈夫、テルヘルさん。俺たちに任せて！」ラーンの自信に満ちた声に、テルヘルは少しだけ微笑んだ。彼女の心には、復讐を成就させるための鍵がその遺跡にあるという確信があった。
深い森の中にある遺跡の入り口は、まるで獣の口のように開いていた。ラーンは剣を手にし、イシェは慎重に足取りを進めた。テルヘルは後ろから二人を見つめながら、古びた地図を広げていた。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には奇妙な模様が刻まれており、時折、不気味な音が響き渡った。ラーンは興奮して周囲をくまなく探したが、イシェは静かに罠の仕掛けを探していた。
「ここは危険だ。気をつけろ。」イシェが警告した時、床から突然、鋭い棘が飛び出してラーンの足元をかすめた。ラーンの顔色が変わった。「やべぇ！イシェ、お前のおかげで助かったぜ！」
テルヘルは冷静に状況を判断し、「あの仕掛けは特定の場所に重心をかけると作動するようになっている。注意深く進もう。」彼女は地図を広げ、遺跡の構造を分析しながら道を切り開いていった。
長い通路を進んでいくと、巨大な石棺が置かれていた部屋に出た。その棺の上には、輝く宝石が埋め込まれた黄金の冠が置かれているのが見えた。ラーンは目を輝かせ、「これだ！大穴だ！」と叫んだ。イシェは少し不安げに言った。「でも、何か変だぞ。こんな場所に宝が…。」
その時、部屋の壁から突如として光が放たれ、棺が開き始めた。そこから現れたのは、漆黒の鎧を纏った謎の戦士だった。その目は赤く燃え盛っており、鋭い剣を手にしていた。
「これは…」テルヘルは言葉を失った。イシェはラーンの腕をつかみ、「逃げろ！」と叫んだ。だが、それはもう遅かった。謎の戦士が剣を振り下ろした瞬間、世界は真っ暗になった。