「おい、イシェ、どうだ？今日はいい感じだぞ！」ラーンが興奮気味に声を張り上げる。目の前には崩れかけた石畳が広がり、その奥には薄暗い通路が見えた。
「落ち着きなよ、ラーン。まだ何もわかってない」イシェは眉間に皺を寄せながら言った。「あの遺跡の記録には、奥深くで複雑な仕掛けがあるって書いてあったはずだ。油断するな」
「そう言ってもさ、こんなワクワクする場所他にないだろ？ほら、テルヘルも期待してるだろう？」ラーンは振り返り、テルヘルに目を向けると、彼女は鋭い眼差しで通路の先を睨んでいた。
「準備はいいか？」テルヘルが低い声で尋ねた。「あの記録によれば、この遺跡にはヴォルダン軍が何かを隠したという話がある。それが何なのか、そしてなぜ隠されたのか…それを知るために来たのだ」
ラーンの胸が高鳴る。大穴、財宝、そしてヴォルダンへの復讐。テルヘルはいつもそう言う。彼女にとってそれは全て繋がっている。
彼らは慎重に石畳を進み、崩れかけた壁をよじ登り、暗い通路を進むにつれて、空気が重く、湿気を帯びてきた。
「何か…感じる」イシェが突然言った。「不気味な…まるで…」
彼女の言葉は途絶えた。目の前には広がる広間があり、中央には巨大な石柱がそびえ立っていた。石柱の表面には複雑な模様が刻まれており、その中心には輝く青い宝石が埋め込まれていた。
その時、地面が激しく震え始めた。壁から崩れ落ちる石、天井から落ちてくる瓦礫。ラーンはイシェを引っ張り、必死に逃げようとした。
「気をつけろ！」テルヘルの声が聞こえたが、その時、石柱から光が放たれ、ラーンの視界が真っ白になった。意識が遠のく中、彼は一つの言葉を耳にした。牢獄…
そして、深い闇に沈んでいった。