「よし、今回はあの崩れかけた塔だ!」
ラーンの元気な声がビレーの朝に響き渡った。イシェはいつものようにため息をつきながら、彼についていくことにした。
「また、大穴なんて dreamt up してるんじゃないだろうな…」
イシェの言葉にラーンは一瞬だけ顔を赤らめたが、すぐにいつもの豪快な笑みに戻り、
「いつか必ず見つける!お前も一緒に大金持ちになって、好きなものいっぱい買えるぞ!」
と、イシェの手を引っ張った。
二人はテルヘルが用意した馬に乗り、崩れかけた塔へ向かった。テルヘルは今回は少し様子が違った。いつもより鋭い視線でラーンを見つめ、何かを企んでいるようだった。イシェはその様子を不気味に感じつつも、ラーンの笑顔を見る度に心が和んでいくのを感じた。
塔の中は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。ラーンが先頭を進み、イシェとテルヘルが続く。
「ここは…何か違うぞ…」
イシェは壁に刻まれた奇妙な文字を指差した。ラーンの表情も曇り始めた。
「確かに…見たことのない記号だ…」
その時、塔の奥から不気味な音が響き渡った。三人は驚き、互いに顔を見合わせた。
「何の音だ?」
イシェが小声で尋ねた。
「気配を感じる…何かいるようだ…」
テルヘルは剣を抜き、警戒姿勢をとった。ラーンも剣を構え、イシェの前を固く守るように立ち上がった。
その瞬間、塔の奥から黒い影が現れた。それは巨大な獣の姿をしていた。鋭い牙と爪を持ち、赤い目が不気味に光っている。三人は息を呑んで獣の動きを見つめた。ラーンの目は恐怖で震えていたが、イシェを守ろうとする強い意志でいっぱいだった。
「逃げろ!」
テルヘルは叫び、三人が獣に向かって剣を振り下ろした。激しい戦いが始まった。