ラーンの大雑把な剣さばきが、埃っぽい遺跡の奥深くへと響き渡った。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の手荒い扱いによって崩れかけた石柱を睨んだ。「また壊すんじゃないわよ、ラーン!あの柱、まだ記録価値があったかもしれないのに」
「大丈夫だよ、イシェ。そんな細かいこと気にすんな。ほら、こっち見て!」ラーンは興奮気味に、床に散らばった破片の束を指さした。「これは…何か変だな?まるで記号みたいだ」
イシェはため息をつきながら、慎重に破片を集め始めた。「確かに…奇妙な模様だ。でもこれだけでは何の意味もないわね」
その時、テルヘルが鋭い眼光で遺跡の奥深くを睨んでいた。「何かを感じた」と彼女は呟き、足取りを早めた。ラーンとイシェも彼女の後ろについていく。
遺跡の奥には、広がる漆黒の空間が広がっていた。そこには巨大な石棺が安置されていた。テルヘルは興奮した表情で石棺に手を伸ばし、ゆっくりと蓋を開け始めた。
その瞬間、棺の中から強烈な悪臭と共に、黒い煙が噴き出した。ラーンは coughing cough しながら、「なんだこれ!?」と叫んだ。イシェは咳払いをして顔をしかめ、「何か悪いものを感じるの…気をつけないと」と呟いた。
テルヘルは煙の中に沈みながら、石棺の中を覗き込んだ。「これは…!」彼女は驚きと共に声を上げた。棺の中で輝きを増すそれは、まるで黒曜石のように闇に煌めく石だった。
「これはヴォルダンが探していたもの…私の復讐の鍵になる…」テルヘルは興奮気味に石を抱きしめると、立ち上がろうとした。その時、石棺の底から不気味な光が放たれ、遺跡全体を赤く染めた。
「これは…!」イシェは恐怖で言葉を失った。ラーンは剣を構え、「何か来るぞ!」と叫んだ。
突然、棺の中から巨大な影が立ち上がった。それはまるで、石の破片から生まれた grotesquely grotesque な怪物だった。黒い煙と共に、その目は赤く燃えていた。
「逃げろ!」テルヘルは叫び、ラーンとイシェを引っ張った。彼らは遺跡の出口へと駆け出した。
しかし、影は彼らを追いかけてきた。遺跡の奥深くから、壊れかけた石柱や壁が崩れ落ち、彼らの前に立ちはだかる。
「やっ…!」ラーンの剣が影に届き、黒い煙が舞い上がった。しかし、影には全く効果がないようだった。イシェは必死に逃げながら、「何か…何か考えないと…」と呟いた。
その時、ラーンの足元にある、石棺から落ちた破片が目に入った。イシェはひらめいた。「ラーン!あの破片を!」
ラーンが一瞬戸惑う間も、イシェは破片を拾い上げて影に向かって投げつけた。破片が影に当たると、黒い煙が激しく渦巻き、影は苦しげな声を上げた。
「あれが…?」テルヘルは驚いた表情で破片を見つめた。「あの記号…!」
イシェは息を切らしながら言った。「あの記号は…この遺跡の設計図の一部だったのかも知れない。影はこの遺跡の一部なのかも…」
ラーンはイシェの言葉を理解したように頷き、再び剣を構えた。影に立ち向かう彼ら。そして、遺跡の奥深くで、テルヘルが黒曜石のような石を抱きしめながら、復讐への炎を燃やしていた。