ビレーの夕暮れ時、ラーンが酒を煽りながらイシェに話しかけた。「今日はいい loot があったろ?あの水晶は結構な値段になるんじゃないか?」
イシェは眉間にしわを寄せながら、小袋の中の水晶を数えた。「確かにいい値段になるだろう。でも、今日の報酬はテルヘルに半分持っていかれるんだろ?あとでまた酒を奢るなんて言ってくれるかな?」
ラーンは笑って肩を叩いた。「大丈夫だ、イシェ。今日は気分がいいからな!あの遺跡の奥深くにはもっとすごいものがあるって確信してるんだ!」
すると背後から冷えた声でテルヘルが言った。「今日の loot はあくまで足掛けだ。目的はあの遺跡にある巨大な装置だ。それを解明し、ヴォルダンに復讐を果たすために。」
ラーンの顔色が変わった。「おいテルヘル、またあの話か?あの装置の謎を解き明かすなんて、俺たちにできることじゃないだろう!」
「できる。」テルヘルは鋭い目で彼らを睨みつけた。「私はその装置が何であるかを発見した。それは古代文明が残した強力な兵器だ。そして、ヴォルダンを滅ぼす力になる。」
イシェは不安げに言った。「でも、あの装置は危険すぎるんじゃないか?あの遺跡で起きた爆発事故のことまだ覚えてるだろ?」
テルヘルは無視し、地図を広げて言った。「次の目標は、遺跡の南西にある崩れた通路だ。そこには装置を起動するための鍵があると確信している。」
ラーンは渋々頷いた。「わかった、行くぞイシェ。準備はいいか?」
イシェはため息をつきながら頷いた。三人は、夕暮れの影が伸びる中、再び遺跡へと足を踏み入れた。
崩れた通路の奥には、巨大な金属製の装置が静かに佇んでいた。その上部には複雑な回路と、謎の文字が刻まれていた。テルヘルは興奮した様子で装置に近づき、小さな水晶を差し込んだ。すると装置に電気が流れ、轟音と共に地面が激しく揺れた。
「これは…!」ラーンの声が恐怖で震えた。「あの時の爆発と同じだ!逃げろ!」
イシェはラーンを引っ張りながら、通路の出口へと走り出した。しかし、遅かった。装置から放たれた衝撃波が彼らを襲い、三人は吹き飛ばされた。
意識を取り戻したイシェが起き上がると、目の前には焼け焦げた大地が広がっていた。ラーンの姿が見当たらない。
「ラーン!」イシェは必死に呼びかけた。しかし、返事はなかった。