ラーンの大斧が石壁に深く食い込んだ。埃が舞い上がり、彼の顔に影を落とす。「よし、ここだ!」
イシェは眉間にしわを寄せて言った。「またしても、ラーン。あの日焼けした顔で言われたら、まるで宝の地図を手に入れたような気分になるんじゃないか?」
「だってそうかもしれないじゃないか!ほら、この壁の模様、見てみろよ。まるで何かが隠されているかのようだ!」
イシェはため息をつきながら、ラーンの後ろに回りこんで壁を指さした。「模様?ただのひび割れでしょう。それに、この遺跡はヴォルダン軍が以前使っていたものだと聞いたわ。宝などあるわけがないわ。」
「そんなことないって!きっと、ヴォルダンが隠した財宝があるんだ!」ラーンの目は燃えていた。「あの狡猾な奴が、俺たちに何かを残しているに違いない!」
テルヘルは静かに様子を伺っていた。彼女の瞳は氷のように冷たかった。ヴォルダンへの復讐心は、彼女を常に燃え上がらせていた。この遺跡も、その復讐のための糸口を探し求めるためのものだった。
「よし、俺たちが開けちゃえ!」ラーンの斧が再び壁に落ち、石塵が舞い上がった。イシェはため息をつきながら、テルヘルに視線を向けた。
「彼にはもう止められないわね…」
テルヘルは小さく頷いた。そして、燃え上がるような炎を秘めた瞳で遺跡の奥深くに視線を向け続けた。