ビレーの夕暮れは早く、薄暗がりの中、ラーンが tavern の扉を開けた。イシェがいつもの席を確保している。テーブルには、まだ温かい酒と硬いパンが置かれていた。
「今日は手ごたえがあったな！」
ラーンは興奮気味にそう言いながら、テーブルの上に布をかぶせた小さな箱を置いた。イシェは眉をひそめた。
「またか。ラーン、あの遺跡は危険だって言っただろう？ 何も確認せずに飛び込んでいくのはやめろ。」
イシェの言葉がラーンの耳に届く前に、 tavern の扉が開き、テルヘルが入ってきた。彼女は、いつも通り黒づくめの衣を身にまとっていた。
「見つけたのか？」
テルヘルの鋭い視線がラーンに向けられた。ラーンはニヤリと笑って箱を開ける。中から出てきたのは、ぼろぼろになった古い地図だった。
「大穴への手がかりだ！」
ラーンの言葉にイシェがため息をついた。テルヘルは地図を手に取り、じっと見つめた。
「これは…ヴォルダン王家の紋章だ。」
彼女は地図の隅にある小さな記号を指さした。イシェとラーンは顔を見合わせた。ヴォルダン王家は、かつてこの地に君臨していた王朝で、今は滅亡していると言われている。
「ヴォルダンと関係があるのか…」
テルヘルは地図を握りしめながらつぶやいた。彼女の目は燃えるように輝いていた。「この地図が指す場所には、ヴォルダンに奪われたものがあるはずだ。」
イシェは不安な表情でラーンを見た。ラーンの顔も、いつもより真剣になっていた。
「よし、次の目的地が決まったぞ！」
ラーンは立ち上がり、 tavern を後にした。イシェはテルヘルと目が合い、互いに何かを理解し合ったような気がした。
「あの地図…本当にヴォルダン王家のものであるのか…」
イシェは心の中で呟いた。彼女は、この冒険が自分たちにとって、そしてテルヘルにとって、どのような意味を持つのか、まだ見通せなかった。