ラーンの大振りな剣が遺跡の壁を粉砕した。埃が立ち込める中、イシェが咳き込みながら「また無駄な力加減だ。あの石造りの壁に傷一つ付けられなかっただろう?」とぼやいた。ラーンはニヤリと笑って「だが、気分爽快だったじゃないか!」と答える。イシェはため息をつきながら、「この遺跡には何もない。また宝の夢を語るのはやめよう」と呟いた。
テルヘルが鋭い目で遺跡内部を視回し、「少し待て。」と手を上げた。「ここには何かある。感じる」。彼女は石畳の上に足を踏み入れ、指先で幾何学模様をなぞった。「この遺跡は単なる墓地ではない。何かを隠している」と断言した。ラーンの瞳が輝き始めた。「やっぱり大穴か!?」と興奮気味に言った。イシェは冷静に「焦るな。テルヘル、その模様は何を表すのか」と尋ねた。テルヘルは眉間に皺を寄せ、「古代の言語だ。しかし、解読には時間がかかる。そして…」彼女は視線を遺跡の奥へと向け、「この遺跡には何か…危険なものも眠っている可能性がある」と続けた。
ラーンの興奮は冷めていく。「危険か…」。イシェはテルヘルの顔色を窺いながら、「安全第一で進めよう」と言った。テルヘルは頷き、「そうする。しかし、この遺跡の秘密には触れないわけにはいかない。我々はここで何か大きなものを発見できる。それは、我々の運命を変えるものになるだろう」と静かに言った。彼女の目は、遺跡の奥深くへと向けられていた。そこには、まるで何かが呼びかけるかのような暗闇が広がっていた。