「よし、ここだ！」ラーンが興奮気味に叫んだ。洞窟の奥深く、壁一面に広がる複雑な模様が浮かび上がる石板を発見したのだ。イシェは眉間に皺を寄せながら近づき、指で軽く触れた。「これは…古代言語？」
テルヘルは石板の写真を撮影し、冷静に言った。「可能性は高い。この遺跡はヴォルダンとの関連性が強いらしい。もしかしたら、彼らの軍事技術に関する情報が記されているかもしれない」。ラーンの顔色が明るくなる。「そうか！これで大穴だ！」イシェはため息をつきながらも、石板の模様を注意深く観察し始めた。
日が暮れ始め、火を焚いて周囲を照らしながら作業を続けた。ラーンは疲れ切った様子で、イシェに言った。「そろそろいいだろう？腹が減ってきたし」。イシェは頷きながらも、石板から目を離さなかった。
その時だった。石板の模様の一つが、まるで燃えるように赤く光り始めた。同時に、洞窟全体が不気味な熱気に包まれた。ラーンの顔色が変わり、「何か変だ！」と叫んだ。イシェは慌てて後ずさりしたが、足がすくんで転倒しそうになった。「イシェ！」ラーンが駆け寄ろうとした瞬間、石板から強烈な光が放たれ、洞窟全体を一瞬で白く染めた。
意識を取り戻した時、ラーンの視界には焦げ付いたような黒い壁が広がっていた。イシェの姿は見えない。そして、どこからともなく、金属的な音が響き始めた。