ラーンの重い呼吸が洞窟内にこだました。イシェの静かな足音と、テルヘルの甲高い指示だけが響く。目の前の壁は、幾千もの年風化し、まるで巨大な骸骨のように荒廃していた。
「ここだ。」テルヘルが指さした地点には、わずかに異様な輝きを放つ石が埋め込まれていた。「この石に触れれば、遺跡の真 entrance に辿り着けるはずだ。」
ラーンは、興奮を抑えきれずに石に手を伸ばした。イシェは眉間に皺を寄せながら、「本当に安全なのか」と呟いた。だがラーンの耳には届かなかった。彼はすでに石に触れようとしていた。その瞬間、床が崩れ、三人は暗い奈落へと落ちていった。
意識を取り戻すと、そこは広大な地下空間だった。天井から伸びる巨大な柱、壁一面に描かれた謎の記号。そして、中央には脈打つように光り輝く巨大な結晶があった。
「ここは...！」イシェは言葉を失った。ラーンも呆然と口を開けていた。テルヘルだけが、どこか冷静さを保ち、結晶をじっと見つめていた。
「ここに至るまで、何年も費やしてきた。」彼女は呟く。「そして、ついに...。」
彼女はゆっくりと結晶に近づき、手を伸ばした。その瞬間、結晶から強烈な光が放たれ、洞窟全体を包み込んだ。ラーンは目を背けたが、その光は彼の視界を焼き付けたように残った。
「これは...！」イシェが叫んだ。「何か起こっている！」
しかし、ラーンの意識はすでに別の世界へと迷い込んでいた。彼は何も考えず、ただ本能的に、光に向かって手を伸ばした。無我夢中だった。