ラーンが大きな声で笑った。「おいイシェ、見てみろ！この石像、まるで王様みたいだな！」
イシェは眉間に皺を寄せて石像をじっと見つめた。「ラーン、また無駄な期待を抱かないで。ただの石の塊よ。遺跡に眠る遺物はほとんど無価値な石や金属くずばかりだ」
「そうかもしれないけど、いつか大穴を見つける日が来るさ！あの時、お前もきっと喜ぶだろう？」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。ラーンの楽観的な性格にはいつも振り回される。イシェ自身もかつてはラーンのように夢を抱いていたが、現実の厳しさを目の当たりにして以来、希望を捨てていた。遺跡探索で手に入れるのはほとんど無価値な物ばかりなのだから。
その時、テルヘルが鋭い声で言った。「止まれ！」
3人は振り返ると、テルヘルの指さす方向に奇妙な光が放たれているのを見つけた。それは石像の足元に隠されていた小さな箱から発せられていた。
「これは…！」 テルヘルは興奮した様子で箱を開けようとした。しかし、ラーンが彼女の手を掴んだ。「待て、テルヘル。何か罠があるかもしれないぞ」
イシェもラーンの言葉に同意した。「そうだ、慎重に進めないと」
テルヘルは渋々頷き、慎重に箱を開けた。中には複雑な模様が刻まれた小さな金貨が入っていた。金貨の表面には、どこか不気味な紋章が描かれていた。
「これは…」 イシェは金貨を手に取り、目を細めた。「見たことのない紋章だ…」。
ラーンが金貨を覗き込んだ。「なんだこれは？無価値な物？」
テルヘルは金貨をじっと見つめて、静かに言った。「この金貨は、ただの無価値な物ではない。ヴォルダンとの戦いに役立つ鍵になるかもしれない…」
イシェはテルヘルの言葉を聞いて、不安を感じた。この金貨が本当に無価値でないのなら、それは一体どんな危険を孕んでいるのか？ そして、自分たちは本当にその危険に巻き込まれることになるのだろうか？