ラーンが石の扉を押し開けると、埃っぽい空気が彼らに襲いかかってきた。イシェは咳き込みながら懐中電灯を点けて奥へと進んだ。広々とした部屋の中央には、巨大な石碑がそびえ立っていた。表面には複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのような不気味さを感じさせた。
「何だこれは…」ラーンが石碑に手を伸ばそうとした瞬間、イシェは彼の腕を掴んだ。「待て！あの模様、見たことあるぞ」イシェは懐中電灯の光を石碑に当てながら、記憶をたどるように言った。「昔、遺跡調査の書物で見たことがある。これは古代ヴォルダンの文字らしい。危険だぞ、触れない方がいい」
「ヴォルダン…」テルヘルが冷たく呟いた。「あの文字は確かにヴォルダンのものである。だが、その中に封印された力があるとも伝えられている。それを解放できれば、我々の復讐は…」彼女は目を輝かせながら言った。「ラーン、イシェ。この石碑を解読し、その力を手に入れろ！」
ラーンの顔には興奮の色が浮かんだ。イシェは不安を感じながらも、テルヘルの強い意志に押され、仕方なく石碑の模様を分析する作業を始めた。日が暮れ、火の粉が舞い上がる焚き火の中で、三人は議論を交わした。
イシェは石碑の解読が難航していること、そして古代ヴォルダンの文字には強力な呪いが込められている可能性があることを警告した。しかし、テルヘルはそれを聞き入れず、「この機会を逃すわけにはいかない」とばかりに、ラーンを焚き付けた。
ついに夜も更け、イシェが解読に成功した。石碑にはヴォルダンの古代兵器に関する情報が記されていた。その兵器は、かつてヴォルダンが世界征服のために作り出したという伝説の武器だった。テルヘルは興奮を抑えきれず、ラーンに指示を出す。「この情報を元に、遺跡の奥深くにあると伝えられる兵器を手に入れるんだ！」
ラーンは剣を手に、意を決した表情で石碑に向かって歩み寄った。イシェは不安を抱えながらも、彼の後を追うように立ち上がった。火が燃える焚き火の光が三人の影を大きく伸ばし、遺跡の奥へと消えていく。
その瞬間、石碑に刻まれた模様が赤く輝き始めた。まるで生きているかのように脈打つ光は、遺跡全体を包み込み、不気味な熱気を放ち始めた。それは、古代ヴォルダンの呪いが解き放たれた瞬間だった。