ラーンの大 swing が埃を巻き上げて遺跡の奥深くへ響き渡った。イシェが眉間に皺を寄せながら、「また無駄な動きをしたな」と呟いた。
「おい、イシェ！ほら、あの壁に何か影が写ってるぞ！」ラーンは興奮気味に叫んだ。イシェはため息をつきながら、ラーンの指さす方向を見た。確かに壁に不自然な影が写っている。
「よし、これは大穴だ！」ラーンの声が響き渡り、イシェは仕方なく頷いた。テルヘルは冷静に周囲を警戒しながら、「気をつけろ、遺跡の罠には油断できない」と警告した。
彼らは慎重に壁の奥へと進み、影が濃くなるにつれて緊張が高まった。すると、壁の一部がゆっくりと沈み始め、その下から燃えるような赤い光が漏れてきた。
「これは…！」イシェの声が震えた。それは、古代文明の記録に記された「炎の心臓」と呼ばれる危険な遺物だった。その力は莫大だが、制御不能で、触れる者全てを焼き尽くすと伝えられていた。
ラーンの顔色が変わった。「よし、これは大穴だ！持ち帰れば大金になる！」彼の目は熱狂的に輝き、イシェは言葉を失った。テルヘルは冷静に状況を見極めた。「炎の心臓は危険すぎる。我々が持ち帰ることはできない」と告げた。
しかし、ラーンの耳には届かなかった。彼は既に炎の心臓に向かって手を伸ばしていた。その時、壁から突然火柱が噴き上がり、ラーンを包み込んだ。彼の叫び声はすぐに炎に呑み込まれてしまった。
イシェは絶望し、テルヘルは冷静さを失わずに状況を分析した。「炎の心臓は制御不能だ。我々も逃げるしかない」と彼女は言った。イシェは頷き、二人は炎の渦から必死に逃げ出した。
炎は遺跡全体を焼き尽くし、ビレーの街にも燃え広がった。ラーンの無謀な行動が引き起こしたこの大火災は、「ビレーの炎上」として語り継がれることとなる。