ビレーの朝はいつも早かった。ラーンが目を覚ますと、イシェがすでに準備を終えていた。「今日はあの東の遺跡だ。テルヘルが新しい情報を入手したらしい」イシェの声はいつも通り冷静だった。ラーンの心は高鳴っていた。あの遺跡は、噂ではかつてヴォルダン軍が何かを隠した場所だという。
「よし、行くぞ！」ラーンはいつものように勢いよく立ち上がった。イシェは小さくため息をついた。「本当に大穴が見つかると思っているのか、お前は」と呟くと、後ろからラーンの荷物を抱えてついてきた。
テルヘルはビレーの宿屋の一室で待っていた。彼女はいつもより真剣な顔つきだった。「情報によると、あの遺跡にはヴォルダンが恐れをなす何かが眠っているらしい。それを手に入れることができれば、ヴォルダンへの復讐を果たせるかもしれない」彼女の目は燃えるように輝いていた。
「だが、危険だ。遺跡は強力な魔物で護られているという話もある」イシェは慎重に言った。「無理は禁物だ」ラーンはイシェの言葉に耳を傾けながらも、テルヘルの言葉を聞いて興奮を抑えきれなかった。
遺跡の入り口には、巨大な石造りの門がそびえ立っていた。門の上には、ヴォルダン軍の紋章が刻まれていた。ラーンの胸が高鳴った。
「さあ、行くぞ！」ラーンは剣を抜き、遺跡へと踏み入れた。イシェは少し遅れて彼の後を追う。テルヘルは二人を見つめながら、静かに呟いた。「潮目が変わる時が来たのかもしれない」