ラーンの大 swing が埃を巻き上げながら空を切った。巨大な石扉が轟音と共に崩れ落ちた。イシェは眉間にしわを寄せながら、扉の奥へと続く通路を慎重に見回した。
「本当にここに何かあるのかい?」
イシェの声に、ラーンは豪快に笑って答えた。
「ほら、言っただろう?大穴だ!」
彼は剣を手に、通路へ踏み入った。イシェはため息をつきながらそのあとを追った。いつも通り、ラーンの計画性のない行動に振り回される日々だった。だが、彼と一緒に遺跡を探検することで、イシェは幼い頃から抱いていた冒険心と、どこかで芽生えた「大穴」への憧憬を満たすことができた。
テルヘルは背後から静かに二人を見下ろしていた。鋭い眼光が通路の奥へと向けられている。彼女はラーンの無謀な行動を冷静に分析し、イシェの慎重さを利用して、遺跡の謎を解き明かそうとしていた。
「ここには何かある」
テルヘルは呟いた。それは、単なる推論ではなく、確信に基づく言葉だった。彼女はヴォルダンとの戦いのために、この遺跡に眠る秘密を手に入れなければならなかった。そして、そのためにラーンとイシェを利用するつもりだ。
ラーンの大 swing は、偶然にも石板を打ち砕き、隠された通路を明らかにした。イシェは驚きの声を上げたが、テルヘルは冷酷な笑みを浮かべた。それは、演技に過ぎなかった。彼女は最初から、この遺跡の真の姿を知っていたのだ。
「さあ、進もう」
テルヘルは先導するように歩き始めた。ラーンとイシェは戸惑いながらも彼女の後についていった。彼らの運命は、すでにテルヘルのシナリオ通りに進んでいた。