ラーンの豪快な笑いが、ビレーの喧騒を一瞬かき消した。 tavern の粗末なテーブルの上には、イシェが眉間に皺を寄せながら地図を広げている。
「また迷子になるのか?」イシェの鋭い視線がラーンを刺す。「テルヘルからもらった地図なのに、いつも通りに進むと、あの遺跡の入り口にたどり着くはずだ」
「いや、俺には何かが違う気がして…」ラーンは自信なさげに言った。「あの遺跡って、なんか違う気がするんだ。まるで…」
彼は言葉を探しながら、視線を遠くの山脈に向けた。そびえ立つ山々は、まるで巨大な影のように、ビレーを包み込もうとしているかのようだった。
「違う? 何が違うって?」イシェはため息をついた。「いつも通りに進むのが一番安全だ」
その時、 tavern のドアが開き、テルヘルが入ってきた。黒曜石のような瞳に、不気味な光が宿っているように見えた。彼女はテーブルに地図を広げると、指で遺跡の場所をなぞった。
「ここだ。ここには、ヴォルダンが隠した秘密がある」とテルヘルは言った。「そして、その秘密が、俺たちの復讐の鍵になる」
ラーンの目が輝いた。「そうか、だから違うのか!」
イシェは不安を感じながらも、テルヘルの言葉に引き込まれていく。
3人は遺跡へと続く山道を歩み始めた。日が沈むにつれて、空は茜色に染まり、山影はより深く濃くなっていった。
「ここは…」イシェは地図を指しながら言った。「ここには、かつてヴォルダンと戦った王国があったはずだ。そして、その王国の滅亡の原因は…」
イシェは言葉を止めた。彼女は自分の過去と向き合わざるを得ないような気がした。
「何があったんだ?」ラーンが尋ねた。イシェは深呼吸をしてから言った。「この王国は、ヴォルダンに裏切られたのだ。そして、その王国の民は、ヴォルダンによって滅ぼされてしまった」
イシェの目は涙で潤んでいた。彼女は自分の過去を思い出していた。かつて、彼女はヴォルダンに家族を奪われたのだ。
「だから、俺たちはヴォルダンを倒さなければならない」ラーンの言葉が力強く響いた。
3人は遺跡の入り口にたどり着いた。そこは、まるで迷宮のような複雑な構造で、石畳の道がいくつも枝分かれしていた。
「ここから先は…」イシェは地図を確認しながら言った。「地図だけでは、正しい道を見つけることはできない。何か…何かが必要なんだ」
その時、ラーンの視線が空に向けられた。夜空には、星が瞬いている。しかし、その一つだけが異様に明るく輝いていた。
「あれは…」ラーンの声が震えた。「あの星…それは…」