ビレーの市場は賑やかだった。ラーンがイシェに酒を勧める店の喧騒が、遠くから漂ってくるのが聞こえた。テルヘルは、そんな雑音を遮断するように、目の前の地図に集中していた。ヴォルダンとの国境に近いこの地域は、遺跡が多い。だが、同時に危険も多い。
「あの遺跡の奥深くに、ヴォルダンが隠したとされる情報がある」
テルヘルはそう告げた時、ラーンの顔から笑みが消えた。イシェは眉間にしわを寄せた。
「また危険な話かい？」
イシェの言葉に、ラーンは首を振った。「危険なのはわかってるんだが、あの情報があれば、ヴォルダンへの復讐も夢じゃないだろう？」
テルヘルは、二人の視線を交わして頷いた。「そう、あの情報は、ヴォルダンの弱みになる。そして、我々の勝利につながる」
三人はビレーの喧騒を背に、遺跡へと向かった。辺境の地には、静寂と緊張感が漂っていた。
遺跡の入り口は、朽ち果てた石柱で塞がれていた。ラーンが剣を抜き、慎重に石柱をどかしていく。イシェは、地図を広げながら周囲を警戒した。テルヘルは、二人の後ろから一歩遅れて歩いていた。彼女の瞳には、復讐への執念が燃えていた。
遺跡内部は薄暗く、埃っぽかった。壁には古びた絵画が描かれており、その中には、ヴォルダンの残酷な歴史が描かれているようだった。ラーンは、絵画に視線を向けると、背筋を戦慄させたような気がした。イシェは、地図を広げながら、遺跡の構造を把握しようとしていた。
「ここからは、気をつけろ」
テルヘルがそう言うと、三人は慎重に足を進めた。遺跡の奥深くには、ヴォルダンが隠した情報があると噂されていた。しかし、その道筋には、数々の罠が仕掛けられていた。
ラーンの剣は、影から現れた獣を斬り伏せた。イシェは、壁に埋められた針から身をかわし、テルヘルは、幻覚を見せる結界を突破した。三人は力を合わせて、遺跡の奥へと進んでいった。
そしてついに、彼らは目的の場所にたどり着いた。それは、広くて空洞の部屋だった。その中心には、石棺が置かれていた。
「これで終わりだ」
テルヘルはそう言いながら、石棺に近づいていく。だが、その時、石棺から黒い煙が立ち上がり、部屋中に漂い始めた。煙の中に、ヴォルダンの幽霊のような姿が現れた。
「汝らは、私の怒りを招くのだ…」
幽霊の声が、遺跡に響き渡った。ラーンは剣を構え、イシェは警戒 stance を取った。テルヘルは、復讐を果たすために立ち向かう決意を固めた。
三人は、幽霊との戦いに挑む。彼らの運命は、この遺跡の奥底で決まるだろう。