ラーンが錆びた剣を片手に遺跡の入り口に立っていると、イシェが眉間に皺を寄せながら地図を広げた。「今回は南西の洞窟群だ。あの辺りはヴォルダンとの国境に近いから、警戒が必要だ」
「大丈夫だ、イシェ。俺が先導する！」ラーンは豪快に笑って剣を構える。イシェはため息をつきながら彼に従う。テルヘルは後ろから二人を見つめ、「あの二人は一体何を探しているのだろう…」と呟いた。
遺跡内部は湿気と暗闇に満ちていた。壁には苔むした文字が刻まれており、時折不気味な音が響く。ラーンの無謀な行動にイシェは何度も警告を発するが、彼は耳を貸さず、興奮気味に奥へと進んでいった。
「ほら、何かあったぞ！」ラーンの声が響き渡ると、イシェとテルヘルが駆け寄った。そこは小さな部屋で、中央には石の台座があり、その上に古い巻物と、奇妙な形をした金属製の容器が置かれていた。
イシェが慎重に巻物を手に取ると、そこには古代の文字で書かれた記述があった。「この容器には…滋養の源となる液体…」イシェの声が震える。「これは伝説の『生命の露』ではないか！」
ラーンは興奮気味に容器を覗き込んだ。テルヘルは冷静に状況を分析し、「ヴォルダンが探しているものと同じかもしれない。持ち帰る必要がある」と告げた。
しかし、その瞬間、部屋の壁から激しい振動が起こり始めた。石が崩れ落ち、天井からは塵埃が降り注いだ。「逃げろ！」イシェの叫び声が響き渡った。
彼らは慌てて部屋を脱出しようとしたが、出口は瓦礫で塞がっていた。ラーンは剣を構え、壁に押し付けられた石をこじ開けようと試みるが、無駄だった。その時、テルヘルが容器を持ち上げ、「これで逃げよう！」と叫んだ。
容器には不思議な光が灯り、周囲の空気を歪ませ始めた。イシェは一瞬ためらったが、ラーンの手を引いて容器に近づいた。三人は光に包まれ、遺跡から姿を消した。