ラーンの大剣が遺跡の奥深くにある石棺を割った瞬間、埃が立ち上り、イシェが咳き込んだ。「また空っぽか…」とイシェはため息をついた。ラーンは肩を落とした。「今回はガッカリだな。テルヘルにはいい顔が見せられん」
「そんなことより、この遺跡の構造…何か変だと思わないか?」イシェは石棺の周囲を巡りながら言った。「まるで、何かを封印するように作られたような…」
ラーンが首を傾げていると、背後からテルヘルが低い声で言った。「そうだな。ここには何か隠されている」彼女の目は鋭く輝いていた。「そして、それは我々が探していたものかもしれない」
彼らは遺跡の奥へ進み、壁一面に描かれた古代文字を発見した。イシェが解読すると、それは滅びゆく文明の記録だった。かつて栄華を極めた王国が、自らの過ちによって滅亡へと追い込まれた様子がそこに記されていた。そして、その末路は、この遺跡に封印された何かによって引き起こされたと記されていた。
「これは…」イシェは言葉を失った。ラーンは不気味な雰囲気を感じ、剣を握り締めた。テルヘルは目を輝かせながら言った。「我々の目的は、この封印を解き放つことだ」
ラーンの心には不安がよぎった。封印されたものとは一体何なのか?そして、それは本当にヴォルダンへの復讐に繋がるのか?彼はイシェの顔を見つめた。イシェもまた、同じ不安を抱いているようだった。しかし、彼らはテルヘルの強い意志の前に、一歩を踏み出すことしかできなかった。