ビレーの朝の陽光が、まだ薄暗い遺跡の入り口を照らしていた。ラーンが大きな yawn をしながら、剣を肩越しにかついでいた。「今日はいい感じだぞ、イシェ！何か掘り出し物がある予感がする！」
イシェはいつものように眉間に皺を寄せていた。「そんな楽観的なのはやめなさい。遺跡に眠るものは全て危険だ。特に最近、このあたりで奇妙な溶解現象が報告されているという話も聞いた」
「そんなの気にすんな！俺たちにはテルヘルがいるんだぞ。あの女なら何か対策を考えているはずだ」ラーンはそう言うと、テルヘルの方へ視線を向けた。
彼女はいつものように冷静に地図を広げ、遺跡の構造を分析していた。鋭い青い瞳が地図をスキャンし、時折ラーンの無茶な行動を制止するようにイシェを見つめる。
「今日の目標は、この奥にある部屋だ。そこには古代の文献があると記録に残っている。だが、その部屋へ至る道は溶解現象が発生しやすい場所を通らなければならない」テルヘルは地図に指を落とすと、冷静に言った。
ラーンが不安げな顔を見せたが、イシェは小さく頷いた。「わかった。注意深く進もう」
遺跡の内部は薄暗く、湿った空気で満たされていた。壁には何かの生き物が触れた跡のような溶けた痕跡が見られた。ラーンは興奮を抑えきれず、剣を振るいながら進んでいくが、イシェは慎重に足取りを確かめながらテルヘルの後をついていった。
やがて、彼らは溶解現象の激しい場所へとたどり着いた。壁から床へと広がる溶けた跡は、まるで生きているかのように脈打っているようだった。「ここは特に危険だ。絶対に気を抜くな」テルヘルが警告した。
ラーンの足元が突然溶け始め、彼は驚いてバランスを失った。イシェは素早くラーンを掴み、引き上げた。「危ない！気をつけろ！」
「くそっ！」ラーンは顔面蒼白になりながら立ち上がった。溶解した跡から、奇妙な蒸気が立ち上っていた。その蒸気を吸い込むと、頭がぼんやりとしてきた。イシェは慌てて口を覆い、テルヘルに助けを求めた。
テルヘルは冷静に小さな瓶を取り出した。「これは特殊な薬だ。これを飲むと暫くの間溶解の影響を受けなくなる」彼女は３人にそれぞれ薬を渡した。
「これで大丈夫だ。落ち着いて行動しよう」テルへルの指示に従い、３人は慎重に溶けゆく道を進んでいった。 しかし、その先に待ち受けるものは、想像を絶する恐怖であった…。