「また遺跡か…」イシェが呟くとラーンは「そうだな!今日は大穴が見つかる予感がするぜ!」と元気よく答えた。いつも通りのやり取りだ。テルヘルは、そんな二つの様子を冷ややかに見ていた。
ビレーの酒場には今日も活気があった。遺跡探しの依頼人や冒険者たちが集まり、賑やかな話し声で溢れている。ラーンはそんな中、いつものように大声を張り上げていた。「俺たち、最強の遺跡探索チームだ!いつか必ず大穴を見つける!」
イシェは溜息をつきながら、ラーンの背中に手を当てた。「少し落ち着いて。今日は調査依頼が来てないから、練習だと言ったでしょ」
「そうかそうか。よし、じゃあ今日の練習は何をするんだ?テルヘル、お前はどう思う?」
テルヘルは静かにテーブルに置かれた地図を指さした。「この遺跡の構造を分析し、危険箇所を特定する。そして、安全な探索ルートを計画する。それが今日の課題だ」
ラーンは一瞬戸惑った後、「なるほど!そうか、そういうことか!」と笑顔で言った。イシェは、ラーンの様子を見て、また溜息をついた。テルヘルは冷静に「準備はいいか?」と尋ねた。
「よし、行くぞ!」ラーンの言葉と共に、三人は遺跡へと向かった。
夕暮れの光が差し込む遺跡の入り口で、イシェは振り返り、静かに呟いた。「本当に大穴が見つかるのかな…」。