ラーンの豪快な笑い声がビレーの朝霧を切り裂いた。遺跡から持ち帰った石碑が、イシェの慎重な appraisals に耐え、ようやく「売れるかも」という評価を得たのだ。だが、その笑顔はすぐに曇る。「こんな小銭で、大穴が見つかるわけないよな」。イシェは眉間にしわを寄せて言った。「もっと深いところへ潜らなきゃ」。
ラーンの「いつか大穴を見つける」という夢は、イシェにとって単なる空想に近かった。だが、彼のその熱意と行動力は、イシェ自身にも何かを掻き立てるものがあった。
テルヘルは二人を見つめた。「次の目標は、あの山脈にある廃墟だ。古代の文献によれば、そこには強力な魔物が封印されているらしい」。
「魔物か...」ラーンの目は輝き始めた。「強い敵との戦いはたまらないな！」
イシェは冷静に反論した。「そんな危険な場所は避けた方が良い。遺跡の探索はあくまで副業だ。安定した収入を得るために、もっと現実的な目標を選ばないといけない」。
だが、ラーンの熱意は冷めやらぬ。テルヘルは彼らを見つめ、「報酬を倍にする」と告げた。イシェはため息をついた。「結局、私だけが現実的すぎるんだろうな...」。
廃墟への道は険しく、危険がいっぱいだった。イシェは慎重に足場を確認し、ラーンが軽々と飛び越える様子を見て、少し羨ましさを感じた。テルヘルは常に周囲を警戒し、彼女の鋭い眼光は、隠れた罠や敵の姿を見逃さなかった。
廃墟内部は暗く湿っていた。壁には古びた絵画が残っており、かつて栄えた文明の面影を伺わせるものがあった。ラーンの好奇心は膨らみ、イシェは彼の無謀な行動に何度も制止を加えた。
そしてついに、彼らは封印された魔物との遭遇を果たす。巨大な影が彼らを襲い、恐怖と興奮が入り混じった空気の中、激しい戦いが始まった。