ビレーの夜空を、いつも以上に大きく、白く輝く満月が照らしていた。ラーンは酒場で、いつものように大杯の酒を飲み干した。イシェが眉間にしわを寄せながら彼の顔色を伺うと、ラーンは「今日はいい気分だ！あの遺跡でまた大物を発見するぞ！」と豪語した。イシェはため息をついた。「またか…」
次の日、満月の光が遺跡の入り口に差し込む中、三人は準備を整えていた。テルヘルはいつも通り冷静に地図を広げ、「今回はここを重点的に探索だ」と指示を出した。ラーンの目は輝き、イシェは渋い顔をしていた。遺跡内は薄暗く、不気味な静けさに包まれていた。
彼らは慎重に進みながら、様々な罠や謎解きに挑んでいった。ラーンは力任せに壁を壊し、イシェは知恵と機転で難所を突破していく。テルヘルは常に状況を見極め、的確な指示を出していた。満月の光が差し込む部屋に到着した時、そこに古代の宝箱があった。
「これは…！」ラーンの声が震えた。イシェも目を丸くした。テルヘルは静かに宝箱を開け、その中身を確かめた。「これは…」彼女は言葉を失った。宝箱には、ヴォルダンに関する情報が書かれた巻物と、一枚の地図が入っていた。それは、ヴォルダンに隠されたという伝説の宝物「夜明けの石」への道標だった。
テルヘルの目は燃えるように輝き、満月の光を浴びて冷酷な表情になった。「これで、ついに始まった…」彼女は呟いた。ラーンとイシェは互いの顔を見合わせた。彼らの運命は、満月が照らすこの遺跡から始まるのだった。