ラーンの大ざっぱな swing で岩壁が崩れ落ちた。埃がたちこめる中、イシェは眉間に皺を寄せながら「またか…」と呟いた。テルヘルは落ち着いて周囲を見回し、「この奥に何かあるかもしれない。慎重に進もう」と指示した。
ビレーの遺跡は、いつも以上に複雑で、迷路のような構造をしていた。ラーンは「宝の山だ!」と興奮気味だったが、イシェは「地図を作らないと、二度とここから出られないぞ」と心配そうに言った。テルヘルはイシェの言葉を無視し、壁に刻まれた奇妙な記号を指差した。「これは…ヴォルダンの文字だ。何か重要情報が隠されているかもしれない」。
彼女は小さな道具を取り出した。それは、まるで小さな宝石のように輝く金属製の器具だった。テルヘルはそれを慎重に壁の記号に当てると、装置が光り始めた。「これは測量器だ。ヴォルダンが遺跡を調査した際に使用していたものだ」と説明する。イシェは興味深そうに覗き込むと「こんな道具があったのか…」。
テルヘルの測量器は、壁の奥深くにある空洞や通路の位置を捉えることができた。そのデータから、彼らは遺跡の構造を正確に把握し始めた。ラーンの無計画な行動を抑え、イシェの慎重さを活かしつつ、テルヘルの知識と道具を駆使することで、彼らは一歩ずつ遺跡の謎に迫っていった。