ビレーの酒場に立ち寄ったラーンが、いつものように大杯の酒をグイッと飲み干した。「今日はいい loot だぞ！」と、ラーンの隣に座るイシェに話しかける。イシェは眉間に皺を寄せながら、テーブルに置かれた小さな宝石箱を見つめていた。「またあの安っぽい石か？ラーン、いつまでこんなもので満足するつもりだ？」
「まあまあ、イシェ。この石、よく見れば結構綺麗だろ？いつか大穴が見つかれば、そんな石なんてゴミ同然になる。」ラーンはそう言うと、にこやかに笑い、酒を注ぎ足した。イシェはため息をつき、ラーンの目をじっと見つめた。「いつまで『大穴』って夢見てるんだ？現実を見てろよ、ラーン。ビレーで暮らしてれば、そんな宝なんて見つけられるわけないだろ。」
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。彼女はいつもと違う表情をしていた。普段は冷徹な顔つきに少しばかりの緊張が入り混じり、目は鋭く光っていた。「二人とも、準備はいいか？」
ラーンは一瞬戸惑った後、いつものように明るく答えた。「準備万端だ！テルヘルさん、今日はどこへ行くんだ？またあの危険な遺跡か？」
テルヘルは少しだけ微笑みながら言った。「今回は違う場所だ。ヴォルダンとの国境に近い遺跡だ。そこには、かつてヴォルダンが奪った、ある重要な遺物が眠っているらしい。」
イシェは眉をひそめた。「ヴォルダンとの国境？危険すぎるだろう。なぜそんなところに？」
テルヘルは目を細めながら言った。「それは秘密だ。とにかく、今回は成功させなければいけない。お前たちの協力が必要なのだ。」
ラーンの表情が少し曇る。「ヴォルダンか…あの国とは関わりたくないな…」
イシェも同意するように頷いた。「私も同じ意見だ。危険すぎるぞ、テルヘルさん。」
しかし、テルヘルは動じなかった。「すでに決めた。行くか否かは、お前たちの自由だ。だが、もし行くなら、覚悟しなければならない。この仕事は簡単ではないだろう。」 ラーンとイシェは互いに視線を交わした。渋い顔をした後、二人はゆっくりと頷いた。