日差しが容赦なく降り注ぐ砂漠の遺跡。ラーンが汗だくで石ころを蹴飛ばすと、イシェが眉をひそめた。「また無駄なエネルギーを使ってるよ。水は残量が僅かだぞ」。イシェの言葉にラーンは苦笑する。「分かってるだろ、イシェ。でもさ、この暑さで頭が働かないんだよなぁ」。
テルヘルは遺跡の中央にある巨大な石柱をじっと見つめていた。「ここには何かあるはずだ。ヴォルダンが何を求めてこの地に来たのか…」。彼女の目は鋭く光り、復讐の炎を燃やしていた。ラーンの無邪気な笑顔、イシェの冷静な分析は、彼女にとって一時的な安らぎに過ぎなかった。
「よし、ここを掘ってみよう」。テルヘルが指示を出すと、ラーンが力強くツルハシを振るい始めた。石の粉塵が舞い上がり、彼らの喉を乾かす。イシェは水筒からわずかな水を口に運んだ。「早く水が手に入らないと…」と呟いた。
日暮れ時、彼らはついに石柱の中に小さな部屋を発見した。そこには埃をかぶった宝箱が置かれていた。「やったぞ!これで大穴だ!」ラーンの興奮を抑えきれず叫ぶ。イシェは宝箱を開ける前にためらいを見せた。「何が入っているか分からない…」
宝箱を開けると、そこには美しい水晶の球体が入っていた。まるで空気を含んだ水のよう、内部に光が閉じ込められており、かすかに青く輝いている。
「これは…」。テルヘルは目を丸くした。水晶球に触れると、その表面から冷たい風が吹き出した。すると、部屋の壁一面に広がる壁画が輝き始め、そこに描かれていたのは…かつてこの地を支配していた古代文明の栄華。そして、彼らの滅亡の原因となった、乾きに苦しむ人々の姿。
「渇き…」テルヘルは呟いた。水晶球から放たれる冷気は、まるで過去の悲劇を伝えるかのように、彼女たちの喉に渇きを覚させるようだった。