ラーンがいつものように大口を開けて笑う。「おいイシェ、今日は絶対に何か見つかる!俺の直感だ!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、地図を広げた。「直感? またか。ラーン、遺跡探索は直感では終わらないぞ。計画性が必要だ。」
「計画性は必要ない!俺たちは冒険者だ!危険と隣り合わせの場所に飛び込むのが面白いんだ!」 ラーンの言葉にイシェはため息をついた。いつも通り、彼は熱意に満ち溢れているが、その熱意は時に危険な目にあう原因になることも知っていた。
テルヘルは冷静な表情で二人を見下ろした。「二人はいつまで無駄な口論をしているつもりだ? 今日の目標はあの廃墟だ。」彼女は地図を指差した。
廃墟はかつて栄華を極めた都市の遺跡だったが、今は崩れ落ちた石と朽ち果てた木々だけが立ち並ぶ、不気味な場所だった。
「よし、行こう!」ラーンの言葉に促されるように、三人は廃墟へと足を踏み入れた。
廃墟の中は薄暗く、静寂が支配していた。足元の石畳には苔が生えており、湿った空気が肌を冷やした。
「何か感じる… 」イシェは突然立ち止まり、鋭い視線で周囲を警戒した。
ラーンはイシェの言葉に少し動揺しながらも、剣を手に握りしめた。「何だ?」
その時、床から異様な光が放たれ、三人は驚愕する。光の中からは、まるで溶けた金属のような液体状の物質があふれ出してきた。それは奇妙な模様を描きながら、ゆっくりと動き始めた。
「なんだあれ… 」ラーンの言葉は恐怖に震えていた。イシェは冷静さを保ち、テルヘルに問いかける。「これは一体…?」
テルヘルは目を細め、液体状の物質をじっと見つめた。「これは… 混合物だ。」彼女はゆっくりと口を開いた。「異なる種類のエネルギーが混ざり合ったもの…」
ラーンの顔色が青白くなった。「混合物? 危険じゃないのか?」
テルヘルは頷きながら言った。「非常に危険だ。この混合物は不安定で、予測不可能な反応を起こす可能性がある。触れたものは全てを溶かしてしまうだろう。」
イシェは冷や汗が止まらなかった。彼らの前に広がるのは、未知の脅威だった。三人は互いに顔を見合わせた。
その時、混合物は突然膨張し始めた。その光はますます強くなり、周囲の石壁を溶かし始めた。三人は慌てて後退したが、既に遅かった。混合物は彼らに向かって襲い掛かってきた。