ラーンの大 hammer が岩壁を叩き砕いた。埃が立ち込め、イシェは咳き込んで顔をしかめた。
「おい、もっと慎重にやれよ。あの遺跡の奥には罠が仕掛けられてるとか聞いたぞ」
イシェの言葉はラーンの耳に入らなかった。彼は目を輝かせ、崩れた岩の隙間から覗き込んだ。
「ほら、見ろ!何か光ってるぞ!」
彼の興奮に感染したイシェも覗き込むと、かすかに光る金属片が見えた。
「本当だ…もしかして宝か?」
イシェは期待に胸を躍らせたが、同時に不安も抱いていた。この遺跡はかつてヴォルダン軍が占領していた場所だった。テルヘルが「危険な情報源」と呼んだ場所だ。
「よし、この奥へ進んでみるぞ!」
ラーンの言葉に、イシェはためらいながらも続く。狭い通路を進むにつれ、湿り気が増し、土の臭いが鼻腔をくすぐった。かつて水の流れがあったことを伺わせる、涸れ川跡が足下に広がっていた。
「ここ…どこかで見たような気がする…」
イシェは不安な気持ちを抱えながら歩を進めた。
突然、ラーンの足元から砂埃が巻き上がり、彼を飲み込んだ。
「ラーン!」
イシェの叫びは、深い闇の中に消えていった。