日差しが容赦なく照りつける遺跡の入り口。ラーンは汗を拭いながら、不機嫌な顔でイシェを見つめた。「おい、準備はいいか？今日はテルヘルのお陰で、いい場所らしいぞ。大穴に近づけるかもな！」
イシェは冷静に地図を広げ、「ラーン、またそんなこと言わないで。遺跡探索は計画性が必要だ。特に今回はテルヘルが頼みたいと言ってる遺跡だからだ。危険が伴う可能性が高い。」
「そうだな」とラーンは言いながらも、剣を構え、興奮気味に遺跡の中へと足を踏み入れた。イシェはため息をつきながら、彼の後を追った。
遺跡内部は薄暗く、湿気が漂っていた。壁には古びた文字が刻まれ、何かの物語を語りかけているようだった。ラーンは興味津々で文字を指さしながら、意味不明なことを呟いていた。イシェは彼に注意しながら、地図と照らし合わせながら慎重に進んでいった。
「ここだな」テルヘルが静かに言った。彼女は遺跡の中央部に位置する広間で立ち止まり、壁に飾られた巨大な石板を指差した。「この石板には、古代文明の知識が詰まっていると言われている。それを解析すれば、大穴への道が開けるかもしれない。」
ラーンの目は輝き、イシェは緊張した表情で石板を見つめた。テルヘルは石板に手を触れようとすると、突然地面が激しく揺れ始めた。壁から崩れ落ちる石や埃が彼らの周りを襲い、視界を遮った。
「何だこれは！？」ラーンは慌てて剣を抜いた。イシェは恐怖で言葉を失い、テルヘルは冷静に状況を見極めた。揺れが収まり、埃が落ちると、石板には巨大な亀裂が入っていた。その中心部からは、奇妙な光が放たれ、空気を歪めていた。
「これは…」テルヘルは言葉を詰まらせ、石板の光に目を奪われた。突然、光が強くなり、周囲を包み込んだ。そして、次の瞬間、石板は消滅した。その跡には何も残っていなかった。
ラーンとイシェは、目の前の光景に言葉を失った。テルヘルは深い沈黙の中、ゆっくりと呟いた。「消えてしまった…全てが。」