ラーンの大 swing が埃を巻き上げると、遺跡の奥深くへと続く通路が現れた。イシェは眉間に皺を寄せながら懐中電灯を照らした。「またしても、行き止まりか?」
「いや、違うぞ!」ラーンは興奮気味に言った。「あの石碑、よく見ろよ」
イシェが目を凝らすと、壁の奥まった場所に、薄っすらと浮かび上がる文様が見えた。まるで浮遊するように、かすかな光を放っている。
「これは...」イシェは言葉を失った。彼女は古代文明の文字に精通していたが、この記号は見たことがないものだった。「これ、一体何?」
テルヘルが近づき、鋭い目で石碑を吟味した。「ヴォルダン帝国の紋章だ...だが、何かが違う。まるで...歪んでいる」
ラーンの顔が曇った。「ヴォルダンか...またあの野郎どもか」
「待て」イシェは手を上げた。「この記号が歪んでいるということは...もしかしたら、この遺跡はヴォルダンが作り出したものなのかもしれない」
テルヘルは静かにうなずいた。「そうであれば、この遺跡には何か、ヴォルダンにとって重要なものが隠されている可能性が高い。我々の目標は、それを手に入れることだ」
ラーンの顔に再び闘志が燃え上がった。「よし、行くぞ!」
しかし、その時だった。石碑から、かすかな光が放たれ、空中にゆっくりと浮かび上がってきた。それはまるで、石碑の記憶を形にしたような、幽玄な影だった。
「何だ...これは?」イシェは声を失った。
影はゆっくりと動き始め、遺跡の奥深くへと進んでいった。ラーン、イシェ、テルヘルは互いに顔を見合わせた。彼らは、この未知なる存在の後を追う決意を固めた。