ビレーの酒場で、ラーンがいつものように大声を上げていた。「おい、イシェ!今日の遺跡でまた大穴が見つかったら、お前は俺について贅沢三昧だ!」
イシェはため息をつきながら、「ラーン、そんな大穴なんて見つかるわけないだろ。それに、いつも同じこと言ってるよ」と答えた。
「いや、今回は違うぞ!なんか感じるんだ、今日は絶対何かあるって!」ラーンの目は輝いていた。
その時、テルヘルがテーブルに近づいてきて、低い声で言った。「二人は準備はいいか?今日の遺跡は特殊だ。噂では、ヴォルダン軍が以前、何かを探しに来たらしい。危険な場所かもしれない」
ラーンは一瞬言葉を失った後、「そんなことより、大穴が見つかるかもって話だろ!ワクワクするな!」と興奮した様子で言った。イシェはテルヘルの警告を気にしながらも、ラーンの熱意に押されるように、頷いた。
遺跡の入り口に立つと、不気味な静けさが支配していた。普段なら小動物たちの気配が感じられるはずだが、今日は何も聞こえない。
「なんか変だな…」イシェは不安そうに言った。
ラーンは「大丈夫だ、きっと大穴が見つかるぞ!」と強がるように言ったが、彼の声にも少し不安が混じっていた。
遺跡の中を進んでいくと、壁に奇妙な絵画が描かれていた。「これは…?」イシェは眉間にしわを寄せた。
ラーンは「なんだこれ?ヴォルダン軍が何か隠したのかな?」と興味深そうに近づいた。その瞬間、壁から黒い煙が噴き出し、二人はCough Coughと咳き込んだ。煙が晴れると、壁には新たな絵画が描かれていた。それは、三人の姿を描いたものだった。
イシェは驚いて「これは…一体どういうことだ?」と言った。
ラーンも言葉を失い、テルヘルだけが冷静に状況を分析した。「これはヴォルダン軍の仕業だ。何らかのメッセージを伝えようとしているのかもしれない」と呟いた。
その時、後ろから声が聞こえた。「待て!お前たちを許さない!」
振り返ると、そこにはヴォルダン軍の兵士が立っていた。イシェはラーンに「逃げろ!」と叫んだが、ラーンは立ち向かおうとした。
「ラーン、やめろ!」テルヘルが叫びながら、ラーンの前に飛び出した。
「お前がヴォルダン軍を恨む理由を知っているのか?」テルヘルは剣を構えながら言った。「お前たちの目的は、ヴォルダン軍の秘密を暴くことなのか?」
兵士は驚いて言葉を失った。その時、ビレーの酒場で聞いた噂がラーンの頭に浮かんだ。ヴォルダン軍が何かを探しに来たという噂…。そして、テルヘルがヴォルダンに復讐を誓う理由…
ラーンは全てを理解した。この遺跡には、ヴォルダン軍の秘密が隠されているのだ。そして、テルヘルはそれを暴こうとしているのだ。
ラーンの心の中で、冒険への期待と、真実を知りたいという気持ちが渦巻いていた。