ラーンの粗雑な剣 swing が埃を巻き上げ、遺跡の奥深くへと消えていく。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の後を続けた。薄暗い通路は湿気とカビ臭い空気に満ちており、足元には崩れそうな石畳が広がっていた。「本当にここなのか？いつもより迷路みたいだぞ」イシェが言った時、ラーンは振り返り、豪快に笑った。「大丈夫だ！俺の直感が言ってるんだ。今日は何か大物が見つかる気がする！」
イシェはため息をつきながら、彼の背後に続いた。ラーンの「直感」は今までほとんど外れたことがなかったが、そのたびにイシェは危険な目に遭わされることも多かった。「大物」とは一体どんなものなのか、イシェには想像もつかなかった。
彼らはしばらく歩くと、通路の先に広がる大きな空間を見つけた。天井から伸びる巨大な柱が崩れ落ち、まるで忘れられた神殿の残骸のようだった。中央には、光を放つ球体があり、その周りを奇妙な模様が刻まれた石版で囲んでいた。ラーンは目を輝かせ、「これだ！きっと何か大発見だ！」と叫んだ。
イシェは慎重に近づき、球体を調べた。「何か温かい…まるで生きているようだ」彼女は呟いた。その時、テルヘルが後ろから声をかけた。「触るな！あれは危険だ」テルヘルの鋭い視線は球体に向けられていた。彼女は何かを知っているようだった。イシェはラーンの手を引っ張り、「やめて！」と言ったが、ラーンはすでに手を伸ばしていた。
その時、球体は突然光り輝き、周囲の石版に刻まれた模様が活気に満ちたように輝き始めた。そして、球体から淡い光がラーンの体に流れ込み始めた。ラーンは苦しみ始め、倒れ込んだ。イシェは慌てて駆け寄り、「ラーン！どうしたの？」と叫んだ。
テルヘルは冷静に状況を判断し、「何かが彼の中に侵入したようだ。この遺跡は危険だ、すぐに逃げよう！」と言った。イシェはラーンの意識が朦朧とする中、何とか彼を支えながら立ち上がろうとした。しかし、その時、球体の光が激しくなり、周囲の空間が歪み始めた。
「逃げろ！ここはもう安全じゃない！」テルヘルの叫び声が響き渡る中、三人は崩壊する遺跡から逃げるように走り出した。彼らの背後からは、崩れ落ちる石と、不気味な光が追いかけてくるようだった。
流浪の末に辿り着いた遺跡は、彼らをさらに深く、危険な世界へと引きずり込んでいった。