ラーンの大雑把な swing で埃が舞い上がり、イシェが咳き込んだ。「またお前か?」とイシェは眉間にしわを寄せながら言った。「あの遺跡の入り口は狭いんだぞ。そっちの方がいいって言ってないだろう」
ラーンは肩をすくめた。「でも、こっちの方がワクワクするだろ?ほら、もしかしたら大穴があるかも!」と彼は目を輝かせた。
イシェはため息をついた。「大穴なんてどこにもないってことは、お前も分かってるだろう?」
「いや、いつか必ず見つけるんだ!だって、このビレーに眠っている遺跡は、まだほんの一部に過ぎないだろ?きっと、この先にはもっとすごいものがあるはずだ」ラーンの言葉は熱を帯びていた。イシェは彼のその姿を見て、どこか哀れな気持ちになった。
「わかった、わかった」とイシェは言った。「でも、今回は本当に慎重に進もうね。あの遺跡は危険だって聞いたことがあるんだ」
二人が遺跡の入り口に近づくと、背後から軽やかな足音が聞こえた。「遅かったな。準備はいいか?」テルヘルが少し皮肉っぽく言った。
「ああ、準備は万端だ」ラーンは笑顔で答えた。テルヘルは彼の無邪気さに少しだけ苛立ちを感じながらも、内心では彼を頼りにしている自分もいることに気づいた。
遺跡の内部は暗く湿っていた。壁には奇妙な模様が刻まれており、不気味な静けさが支配していた。イシェは常に周囲を警戒し、ラーンが行き過ぎるほど大胆に進むことを牽制した。テルヘルは三人の後方を少し離れて歩きながら、遺跡の構造や歴史について淡々と説明した。彼女の知識は豊富で、遺跡探査において貴重な存在だった。
彼らは深く洞窟を進んでいくうちに、巨大な石棺を発見した。棺の上には複雑な文様が刻まれており、その美しさに息を呑んだ。
「これは…!」イシェは目を輝かせた。「これは古代の王家の墓だかもしれない!」
ラーンの顔色が一変した。「本当に大穴が見つかるかも?!」彼は興奮気味に言った。
テルヘルは冷静な表情で石棺を見つめた。「可能性はある」と彼女は言った。「しかし、安易に手を出すべきではない。この遺跡には何か危険が潜んでいるかもしれない」
だが、ラーンの耳には彼女の言葉は届いていなかった。彼はすでに石棺に近づき、その蓋を開けようとしていた。イシェが彼を止めようと叫んだが、時遅く、石棺の蓋が開かれた瞬間、そこから黒い煙が噴出し、三人は激しい咳き込み始めた。
煙が晴れると、石棺の中からは奇妙な光を発する球体が見えた。それはまるで生きているかのように脈打っており、不気味なエネルギーを放っていた。
ラーンは目を輝かせ、「これは…!」と彼は言葉を失った。イシェは恐怖で体が震え始めた。テルヘルは冷静さを保ち、球体を慎重に観察した。彼女は何かを感じた。この球体には、ヴォルダンとのつながりがあるような気がしたのだ。
注釈:このエピソードでは、ラーンの無邪気さとイシェの慎重さ、テルヘルの冷静さが対比的に描かれている。また、遺跡探索を通じて、物語の主軸である「ヴォルダンとの戦い」に繋がる伏線が張られている。