「よし、今回はあの崩れた塔だ。噂によると奥深くには未開の部屋があるらしい」ラーンが目を輝かせながら地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せた。「また噂話で決めるのか? 危険な場所だとわかっているだろうに…」
「大丈夫だ、イシェ。今回はテルヘルさんがいるから安心だぞ!」ラーンはそう言うと、テルヘルの方を向いた。
テルヘルはいつものように冷静な表情で言った。「情報によると、その塔はかつてヴォルダン軍の監視拠点だったようだ。内部には様々な罠が仕掛けられている可能性がある。注意が必要だ」
「罠か…でも、どんな罠も俺たちに歯が立たないだろう!」ラーンは剣を手に取り、意気揚々とした。イシェはため息をつきながら、準備を始めた。
塔の入り口は崩れ落ち、内部は暗く湿っていた。彼らは慎重に足場を確かめながら進んでいった。壁にはヴォルダン軍の紋章が刻まれており、かつての威圧的な雰囲気が残っていた。
「ここには法律など存在しない。俺たちは自由に動き、欲しいものを手に入れるのだ」ラーンの言葉に、イシェは少し不安を感じた。テルヘルは沈黙を守り、鋭い視線で周囲を警戒していた。
奥深く進むにつれて、空気が重くなり、不気味な静寂が支配するようになった。突然、床の一部が崩れ落ち、ラーンが穴に転落しそうになった。イシェが咄嗟に手を伸ばし、ラーンの腕をつかんだ。「危ない! 」
「くそ…!」ラーンは立ち上がり、怒りを露わにした。「罠だ! この damn な塔…」
その時、壁の奥から機械的な音が聞こえ始めた。
「これは…!」テルヘルが顔色を変えた。
床に埋め込まれた石板がゆっくりと上昇し、その上には鋭い刃が飛び出した。それは明らかにヴォルダン軍が仕掛けた罠だった。ラーンは慌てて剣を抜いたが、すでに遅かった。刃が彼の腕を深く切り裂き、血が噴き出した。「ぐっ!」ラーンの苦痛の叫びが塔に響き渡った。