ラーンが豪快に笑う。「よし、今日の成果だ!これでまた一週間酒と肉が食える!」 イシェは彼の肩を軽く叩き、「その前に、まずは報告だな。テルヘルにはちゃんと報酬を渡さなきゃ」と冷静に言った。
ビレーの宿屋で、3人は小さなテーブルを囲んでいた。テーブルの上には、遺跡から持ち帰った破損した石碑が置かれている。テルヘルは鋭い目で石碑を見つめ、「これはヴォルダン王家の紋章だ。ここに何か隠されているはずだ」と呟いた。ラーンは「またヴォルダンかよ、あの国とは縁がないな」と不機嫌そうに言った。
イシェが「でも、テルヘルが言うように、この石碑には何かあるはずだ。ヴォルダンの歴史を解明する鍵になるかもしれない」と付け加えた。だが、彼女の目はどこか遠くを見つめているようだった。
テルヘルは立ち上がり、テーブルを叩いた。「私はこの石碑からヴォルダンに奪われたものを取り戻す。そして、彼らを滅ぼすために必要な情報を得るのだ」彼女は冷酷な笑みを浮かべた。
ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。彼らはテルヘルの目的を知っていた。ヴォルダンからの復讐。それは彼女を燃やすような激しい憎悪だった。だが、その憎悪の奥底には、何か別のものを感じ取ることができた。
「よし、わかったよテルヘル」ラーンが言った。「俺たちは君の味方だ。一緒にあのヴォルダンをぶっ倒そうぜ!」 彼の言葉は力強く、希望に満ちていた。イシェも小さく頷いた。だが、彼女の心には、どこか不安な影が忍び寄っていた。
かつて栄華を極めたヴォルダン王家は、今は衰退の一途を辿っている。その滅亡の足音は、すでに聞こえ始めていた。しかし、テルヘルはそんなことなど知ろうともしなかった。彼女は復讐にのみ執念を燃やしていた。そして、その執念は、彼女自身をも破滅へと導くことになるのだろうか。