ビレーの喧騒を背に、ラーンは巨大な遺跡の入り口に立っていた。イシェがいつものように地図を広げ、テルヘルが鋭い目を遺跡の壁面に向け、それぞれ慎重に状況を把握していた。
「よし、今回は俺たちが先陣だ！」
ラーンの豪快な声で、三人は遺跡内部へと足を踏み入れた。埃っぽい通路を進み、崩れかけた石柱の間をすり抜け、やがて広がる巨大な地下空間へたどり着いた。そこには、かつて栄華を極めた文明の面影が色濃く残っていた。壁画には精巧に描かれた神々や怪物、そして謎めいた記号が並んでいた。
「これは…。」イシェは息をのんだ。
テルヘルは慎重に壁画を調べながら言った。「この記号…ヴォルダン軍が何らかの儀式を行った痕跡かもしれない」。
ラーンの顔色が曇り始めた。「ヴォルダンか…。あの国とは関わりたくない」
「だが、この遺跡には何か大きな秘密が隠されているはずだ。我々はその秘密を暴き、ヴォルダンに復讐を果たすのだ」
テルヘルの言葉は冷たく、しかし強い意志に満ちていた。ラーンとイシェは互いに顔を合わせた。彼らは、この遺跡探検が単なる財宝探しではないことを認識していた。それは、ヴォルダンの影を背負った危険なゲームだった。
「よし、わかった。俺たちは協力する」ラーンは深く息を吸い込み、剣を抜いた。イシェも頷き、準備を整えた。三人は遺跡の奥へと進んでいく。しかし、その先に待ち受けるのは、予想を超える恐怖と、彼らの運命を大きく変える衝撃的な真実だった。
彼らは遺跡最深部で、巨大な祭壇を発見した。祭壇には、黒曜石でできた奇妙な装置が置かれており、その周りは不気味な紋章で飾られていた。
「これは…！」テルヘルは声を失った。彼女の瞳に恐怖と興奮が入り混じっていた。
「何なんだこれは…」ラーンは不安そうに呟いた。
イシェは祭壇の紋章を注意深く観察し、顔を蒼白にした。「これは…汚名と呼ばれる禁断の儀式に使われた紋章だ。伝説によると、この儀式を行うことで、恐ろしい力を呼び出すことができるという…」
テルヘルの表情は歪んだ。「この遺跡がヴォルダンに利用された理由がわかった…。彼らは汚名を手に入れようとしたのだ！」