ラーンの大斧が石の壁に激突した。埃が立ち込め、かすかに硫黄臭が漂う。イシェは咳き込みながら、「また無駄な力技だ。あの隙間からでも入れるはずだ」とぼやいた。
ラーンは肩をすくめた。「いや、この壁は違う気がするんだ。何か...引っかかりがあるような気がして」
テルヘルは二人を見下ろすように言った。「時間を浪費するな。あの気泡の先に何かがあるなら、早く確認すべきだ」
イシェが眉間に皺を寄せた。「気泡?またお前か?」
テルヘルはにやりと笑った。「あの遺跡の記録には、古代人が遺した気泡状の装置についての記述があった。その中に...」彼女は言葉を濁した。
ラーンは気にせず、壁を叩き続ける。すると、壁の一部がわずかに沈み込んだ。そこに小さな穴が開き、そこから淡い光が漏れてきた。
「ほら、言っただろう!」とラーンは興奮して叫んだ。
イシェはため息をつきながら、テルヘルの方を見た。「気泡...装置か」
テルヘルは深く頷き、「その装置が何を意味するのか...それが鍵となる」と呟いた。彼女の瞳は、まるで古代の秘密を覗き込むかのようだった。