日差しが容赦なく照りつける砂漠の遺跡サイト。ラーンは腰を据えて、巨大な石板に刻まれた文字をぼんやりと眺めていた。イシェは彼の横で、埃まみれのノートを広げ、何かを書き留めている。テルヘルは影になって涼しい場所で、鋭い目で周囲を見回していた。
「こんなの解読できるわけないだろ」ラーンがため息をつくと、イシェは顔を上げた。「まだ諦めるなよ、ラーン。もしかしたら何か手がかりがあるかも…」彼女は言うが、声には力が入らない。テルヘルが近づいてきて、「時間だ。無駄なことをするな」と冷たく言った。
ラーンの視界に入ったのは、砂埃を巻き上げて遠くからゆっくりと迫ってくる巨大な影だった。巨大な獣か、あるいは機械仕掛けのゴーレムか。どちらにしても、彼らにとって脅威となることは間違いなかった。「イシェ、準備はいいか?」ラーンは剣を抜くと、テルヘルの方を見た。「どうする?あの奴を倒すのか?」
テルヘルは静かに頷き、「あの遺跡には何かあるはずだ。逃げるわけにはいかない」と答えた。イシェは緊張した面持ちで、小さな杖から光る結界を展開し始めた。ラーンの心には、漠然とした不安が広がっていた。遺跡探しの仕事は危険なことも多いが、今回はいつもとは違う、何か不吉なものを感じていたのだ。
彼は深呼吸をして、剣を構え直した。太陽の光が彼らの背中に刺さるように照りつける中、三人は巨大な影に向かって立ち向かう準備をした。
しかし、彼らが戦いを挑もうとした時、突然、空から黒雲が湧き上がり、砂嵐を巻き起こした。視界は真っ白になり、周囲の音も聞こえなくなった。ラーンは不安と焦燥感にさいなまれながら、イシェとテルヘルの声を呼んだ。だが、答えは返ってこない。
そして、激しい砂嵐の中、ラーンは奇妙な気だるさを感じ始めた。それはまるで、巨大な影が放つ悪臭のようなもので、彼の意識をゆっくりと麻痺させていくようだった…。