日差しが長く伸びていく残照の時間に、ビレーの街はずれから少し離れた遺跡へと続く道を行く三人の影が伸びていた。ラーンはいつものように大口を開けて歌いながら先頭を歩いている。イシェは眉をひそめて彼の背後について行き、テルヘルは二人を見下ろすようにしてゆっくりと歩く。
「本当にこの遺跡で何か見つかるのかね？」
イシェの言葉にラーンは振り返ってにっこりと笑った。
「大丈夫だよ、イシェ！俺の勘が働くんだ。今日はきっと大物が見つかるぞ！」
イシェはため息をついた。「そう言うたびに何も見つからないんだよ。」
テルヘルが口を開いた。「二人とも無駄な時間を過ごしている。早く遺跡の中に入ろう。」彼女の言葉にラーンとイシェは沈黙して遺跡へと入った。
遺跡の入り口は崩れかけていて、薄暗い内部へと続く階段が見えた。空気は冷たく、湿った土の臭いが漂っていた。
「ここは以前にも来たことがあった気がするな…」
イシェが呟くと、ラーンの顔色が少し変わった。「ああ、そうだったな。」彼は少しだけ不安そうに言った。「あの時は何も見つからなかったよな…」
テルヘルが鋭い視線で二人を見つめた。「なぜここに来たのか忘れているのですか？大穴を探すのではないのですか？」
ラーンの表情は固くなった。「ああ、そうだ。大穴だ…。」
三人は静かに遺跡の中へと進んでいった。残照の光が薄暗い遺跡に差し込み、埃が舞い上がるたびに、過去の栄華を偲ばせるような幻想的な光景を作り出していた。しかし、その美しさの裏には、何物も明らかにしてくれない沈黙と、彼らの前に広がる未知なる危険があった。