「おい、イシェ、見てみろ！これぞ大穴への第一歩だ！」ラーンが興奮気味に、ぼろぼろの石棺を指さした。イシェは眉間に皺を寄せながら、棺の周りを慎重にチェックしていた。「ラーン、またか？あの埃っぽい箱から宝石が出てくると思うなよ。それに、こんな場所だと遺跡の残滓が薄くて、危険な罠が仕掛けられてる可能性もあるぞ」
「そうかもしれないけど、イシェ、お前も分かってるだろ？いつか俺たちの大穴が見つかるって！その時が来たら、お前も後悔するぞ！」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。彼はラーンの熱意を理解しつつも、その無謀さにいつも不安を感じていた。
そこに、テルヘルが冷めた視線で近づいてきた。「大穴だと？そんな甘い話があるわけないでしょう。遺跡の残滓は確かに薄い。この場所はかつてヴォルダンが何かを隠した場所だ。そして、彼らが残したものは決して benign なものではない」彼女は鋭い目で石棺を見つめ、低い声で言った。「もし何か見つかったらすぐに知らせてくれ。それが俺たちの目的だ。」
ラーンはテルヘルの言葉に少しだけ顔色が変わったが、すぐにいつもの明るい笑顔を取り戻した。「わかった！俺たちは必ず大穴を見つけるぞ！」そう言って、彼は石棺の蓋に手を伸ばした。イシェはラーンの背中に冷たい視線を向け、静かにつぶやいた。「どうか、願いが叶うように…」
その時、石棺から不気味な光が漏れ出し始めた。そして、その光が石棺を包み込むと同時に、周囲の空気が激しく振動し始めた。イシェはラーンの腕を引き寄せようとしたが、ラーンはすでに石棺に吸い込まれてしまっていた。テルヘルは冷静に剣を抜いた。「何だこれは…」彼女は目を細め、石棺から放たれる残滓のようなエネルギーを警戒しながら、ラーンの安否を確認しようと石棺に近づいていった。