「おい、イシェ、どうだ？今日は何かありそうな気がするぜ！」ラーンが胸を張ってそう言い放つと、イシェはため息をついた。「また大穴か？ラーン、遺跡探検は宝探しじゃないんだよ。慎重に調査しないと、命を落とすぞ」イシェの言葉はラーンの耳に届かない。彼はすでに遺跡の入り口に足を踏み入れていた。「よし、行こうぜ！」
テルヘルが冷静に周囲を観察する中、ラーンは興奮気味に奥へと進んでいく。イシェは仕方なく彼の後を追った。遺跡内部は薄暗く、湿った空気中に埃が漂っていた。壁には奇妙な模様が刻まれていて、何とも言えない不気味さを醸し出していた。
「ここは以前も調査したことがあったはずだ…何か変だな」イシェは眉をひそめた。「確かに、いつもと様子が違う気がする」テルヘルも同意するように言った。
進むにつれて、遺跡の奥底から奇妙な音が聞こえてくるようになった。まるで誰かが泣いているような、悲痛な声だった。ラーンはそれを無視しようとしたが、イシェは不吉な予感を覚えた。
「待て、ラーン！何かおかしいぞ！」イシェの声を振り切ってラーンは先に進もうとする。その時、彼の足元から何者かが飛び出して来た。それは、腐敗した肉体で覆われた骸骨だった。骸骨の目は空洞に燃えるように赤い光を放ち、鋭い爪がラーンの足を狙った。
「ぎゃあっ！」ラーンは驚きのあまり後ずさった。イシェは素早く剣を抜いて骸骨を斬りつけたが、その体はバラバラになっても、再び合体し、襲いかかってくる。
「これは…死人だ！」テルヘルが叫んだ。彼女は過去の遺跡調査で、このような死霊の存在を知っていた。死人は生者の魂を奪い、その体を乗っ取ろうとする邪悪な存在だった。
ラーンは恐怖に慄きながら逃げようとしたが、骸骨は彼の足首を掴み、引きずり始めた。イシェとテルヘルは必死に骸骨と戦ったが、その数は増え続け、絶望的な状況に見えた。