ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑い声を上げていた。「おい、イシェ！今日の遺跡でまた宝の地図が見つかったんだぞ！」
イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの肩を軽く叩いた。「またか、ラーン。そんな安っぽい地図に騙されるのはもうやめろよ。あの地図屋が言うには、その地図は…」
「あーあ、また長話が始まるのか？」ラーンは面倒そうに手を振った。「イシェはいつも楽しめないな。俺たちは冒険者だ！宝を探すのが仕事だろ！」
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。「二人は準備はいいか？今日は私が調査したい遺跡があるんだ。」
ラーンの目は輝いた。「おお、ついに大穴に近づく時が来たのか！？」
テルヘルは薄暗い目で二人を見据えた。「大穴？そんな甘い話はない。今回の遺跡は危険だ。罠が多いらしい。だから、お前たちには特に慎重な行動を…」
イシェはテルヘルの言葉に耳を傾けながら、ラーンの様子を観察した。彼の目は興奮で輝き、まるで獲物を見つけた獣のように、テルヘルに執着しているようだった。イシェは背筋が寒くなった。ラーンはいつも以上にテルヘルの言うことを鵜呑みにしているように見えた。
遺跡の入り口に着くと、テルヘルは古びた石碑を指さした。「ここはかつてヴォルダンが支配していた場所だ。この遺跡には、ヴォルダンが隠した秘密があるという噂だ。」
ラーンは目を輝かせながら剣を抜いた。「よし、準備万端だ！イシェ、行くぞ！」
イシェは何かを察知し、ラーンの腕をつかんだ。「ちょっと待て、ラーン。何か変だぞ。テルヘルがなぜこんな危険な遺跡に…」
「イシェ、お前は何を言っているんだ？早く行こうよ！」ラーンはイシェの手を振り払い、遺跡へと足を踏み入れた。
イシェは深くため息をつき、テルヘルを見た。「何か隠していることがあるのですか？」
テルヘルは冷たい笑顔を見せた。「心配するな、イシェ。私はただ、私の目的を達成するために、お前たちを利用しているだけだ。」