ラーンが遺跡の入り口で興奮気味に剣を構えると、イシェはいつものように眉間にしわを寄せた。「また大穴だなんて、そんな夢物語をいつまで…」と呟きながら、慎重に足場を確認した。
「ほら、イシェ！今回はきっと違うぞ！」ラーンは、いつも通りの明るい声で言った。「あの古代の碑文に書いてあったんだぜ？『富と栄光は、眠れる竜の牙に宿る』って！つまり、この遺跡には…」
イシェは彼の言葉を遮り、「宝の地図か何かを見つけたわけではないわね。ただの空想話でしょう」と冷静に言った。「それに、あの碑文は誰 wrote のですか？本当に信頼できる情報源なの？」
「ま、いいんだよ、きっと大丈夫さ！」ラーンはそう言うと、遺跡へと足を踏み入れた。イシェも仕方なく後を追うが、どこか不安な気持ちでいっぱいだった。
その時、背後から冷たい声が響いた。「準備はいいかい？」それはテルヘルだ。彼女はいつも冷静沈着な表情を崩すことなく、ラーンとイシェに近づいてきた。
「テルヘルさん、今回は一体何を探しているんですか？」イシェが尋ねると、テルヘルは少しだけ唇の端を上げた。「私の目的は、君たちには関係ない。ただ、君たちの力は必要だ」と答えた。彼女の言葉から、何か秘密めいた計画があることは明らかだった。
遺跡内部は、薄暗い通路が複雑に張り巡らされていて、時折、崩れかけた石柱や朽ち果てた壁画が見えた。ラーンの興奮も、イシェの不安も、この遺跡の重厚な雰囲気に飲み込まれていくようだった。
彼らは深く潜っていくにつれて、遺跡の構造がより複雑になっていった。壁には奇妙な記号が刻まれており、床には謎の装置が配置されていた。ラーンは興奮を抑えきれずに、「これはすごいぞ！まるで古代文明の技術だ！」と叫んだ。イシェは彼の無邪気さに呆れつつも、どこか興味を掻き立てられるものを感じていた。
すると、突然、通路から不気味な音が響き渡った。「何かが来たようだ…」テルヘルの声が冷たかった。彼らは剣を構え、周囲に目を凝らした。
その時、通路の奥から、何者かが姿を現した。それは、巨大な機械仕掛けの獣だった。その目は赤い光を放ち、鋭い牙と爪を剥き出しにしていた。ラーンは驚愕し、「これは…！」と呟いた。イシェも息を呑んだ。
テルヘルは冷静に剣を抜いて言った。「次世代の遺産を守るために、戦う覚悟だ。」その言葉に、ラーンとイシェも奮起した。彼らは遺跡の謎と、そこに潜む脅威に立ち向かう決意を固めたのだ。