ビレーの酒場「荒くれ者の休暇」は、いつもより賑やかだった。遺跡探検から戻ったラーンとイシェが、テーブルに酒を並べて大笑いしているのだ。
「あの古代の機械、本当に動いたんだぞ！ イシェ、お前も見たか？ 光が一杯に広がって…」
ラーンの興奮を抑えきれない様子に、イシェは苦笑する。「ラーン、落ち着いて。確かに驚いたけど、あの機械は遺跡の奥深くで発見されたものだ。権門が調査を命じているだろう。我々が勝手に動かしたことは大問題になるぞ。」
「ああ、そうだな…」ラーンの顔色が曇り始めた。彼はいつも無邪気に遺跡を探検するが、イシェが言うように、遺跡は権力闘争の道具にもなりかねないことを理解していた。
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。彼女はいつものように黒のマントを身に纏い、鋭い視線で二人を見据える。「何か騒がしいな。遺跡から戻ったようだな。今回は収穫があったか？」
ラーンはテルヘルの問いかけに、少し得意げに答えた。「ああ、古代の機械を発見したんだ！ でも…」
「でも？」テルヘルは眉をひそめた。
イシェはラーンの代わりに口を開いた。「あの機械、権門が調査する可能性が高い。我々が勝手に動かしたのは問題だ」
テルヘルは沈黙し、しばらく二人を見つめた後、ゆっくりと口を開いた。「なるほど… 今回は危険な gambit（賭け）に出たようだな。だが、それが我々の目的達成に繋がるのなら…」
彼女の言葉は途絶えたが、二人の表情には暗雲が立ち込めていった。彼らは権力と対峙する運命にあることを、改めて認識したのだ。