「よし、今回はあの崩れた塔だ。噂によると奥深くには秘宝が眠っているらしいぞ」ラーンが目を輝かせた。イシェはいつものように眉間にしわを寄せていた。「また噂話に騙されるつもりか? そんな危険な場所に行く必要はない。」
「でもさ、イシェ、もし本当に宝があったら?」ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。「わかったわかった、行くけど、今回は私が計画を立てる。無茶なことはするなよ、ラーン」
二人が遺跡へと向かう途中、テルヘルが合流した。「今日は私達の報酬を倍にする。あの塔にはヴォルダンが欲しがっているものがあるらしい。それを手に入れることができれば、我々の計画も大きく前進する。」彼女の瞳に燃える炎は、単なる財宝への執着ではなく、何か別のものを感じさせた。
崩れかけた石畳の上を慎重に進む三人の背後から、不気味な影が伸びていた。それは、ヴォルダンに仕える者たちの視線だった。彼らはテルヘルの動きを常に監視しており、彼女が手に入れるべきものを奪うために暗躍していたのだ。
塔の奥深く、秘宝が安置されている部屋にたどり着くと、そこには予期せぬ罠が仕掛けられていた。ラーンの剣が空を切り、イシェの機転で難を逃れたが、テルヘルは冷静さを失いそうになった。「あの男は私をだましたのだ!」彼女は怒りを露わにした。
しかし、その瞬間、イシェが声を上げた。「待て!これは罠だ!」彼女は何かに気づいていた。実際、この遺跡はヴォルダンが仕組んだものだった。テルヘルを利用し、秘宝を手に入れるための策略だったのだ。
ラーンは剣を構え、テルヘルを見つめた。「何があったのか説明しろ!」イシェは冷静に状況を分析し、「テルヘル、私たちは騙されている。ヴォルダンに利用されている。」と告げた。
テルヘルの表情が曇った。彼女は自分の過ちに気づき、そして、ヴォルダンへの復讐という執念が、彼女をどんな深い闇へと導くのか恐れた。この遺跡は、権謀術数渦巻く戦いの舞台であり、三人の運命を大きく変えるものとなるだろう。