ラーンが遺跡の入り口で深呼吸をした。いつものようにイシェは眉間にしわを寄せていた。「あのね、ラーン。今回は本当に慎重に進もうよ。あの構造物はまるで罠が仕掛けられているみたいだし…」
「大丈夫だって!イシェ、お前いつも心配性すぎだぞ。」ラーンはそう言うと、軽快な足取りで遺跡内部へと足を踏み入れた。イシェはため息をつきながら後を追う。テルヘルは二人が少し離れたところで、遺跡の壁に刻まれた複雑な模様をじっと見つめていた。
「これは…。」彼女は呟いた。「この構造物は単なる迷宮ではない。何か特定の目的のために設計されている。そして、その鍵となるのは…」
彼女の視線は、遺跡の中央にある巨大な石柱へと向けられた。石柱には幾何学的な模様が刻まれており、まるで複雑な計算式のように見える。
「これだ。」テルヘルはそう呟きながら、ラーンとイシェに合図を送った。「この構造物の中に眠る秘密を解き明かすためには、この石柱の謎を解かなければならない。」
ラーンの無邪気な笑顔が、イシェの不安げな表情と対照的に映える。テルヘルは内心で微笑んだ。この遺跡から何が発掘されるのか、そしてそれがヴォルダンへの復讐に繋がるのか。彼女の胸には、確固たる信念と燃え盛る炎があった。
彼らは石柱の周りを歩き回り、その構造を分析し始めた。イシェは細やかな観察眼で模様の配置を記録し、ラーンは彼の直感で石柱の表面を触診する。テルヘルは彼らの行動を見守りながら、頭の中で複雑な計算式を解き明かしていくように、遺跡の謎を解き明かすための糸口を探していた。
日が暮れ始め、遺跡内部は薄暗く冷たくなっていく。それでも彼らは石柱の前に立ち続け、その謎に挑み続ける。構造物の奥底に眠る秘密が、彼らの運命を大きく変えることになるだろう。